夜の9時くらいに友人から電話がかかってきた。

ちょうど本屋に入ろうとしていたところなのだが

電話に出てみる。


「あ。今、大丈夫?」と友人。

「うん」

「俺、何食べたら良いと思う?」

うーん。自己主張がないというのは現代人の特徴であるが、

こいつの場合はネタ振りでこういうことを言ってくるので要注意である。

迂闊な答えは出来ない。

1秒ほど思案した私は「カニを食え」という答えを出した。

カニは低カロリーかつ、余り苦手な人がいないという都合の良い食料だからである。


「えー。カニ?何でカニ?」

「じゃあ、カニ缶」

「知ってる?たらばガニってカニじゃなくてヤドカリの仲間なんだよ?

 カニだったらば、って覚えよう」

「何?お前カニ食いたくないの?なら電話切るよ?カニ食えよ」

「何でお前は俺にカニを食べさせたがるの?」

「吉祥寺にカニの食べ放題があるよ」

「行くの?」

「いや、高いから良いや」


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ここで吉祥寺のカニ食べ放題情報

たらば屋

アクセス 中央線吉祥寺駅南口すぐ

住所  武蔵野市吉祥寺南町1-4-3ニューセンタービル5F

電話  0422-49-3429

席数  120席

料金  食べ放題は2名から。ズワイガニ食べ放題7000円

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「そうなの?」

「ああ。カニ食べたいな」

「俺は何を食べたら良いと思う?」

「海鮮ヌードルとかどう?」

「なにそれ?」

「カニとかシーフードな具が入ってるやつ」

「またカニかよ」

「何だよ。カニ嫌いなのかよ」

「そうじゃないけど。まぁいいや。自分で考える」


そう言うなり友人は電話を切った。



そして夜1時半頃また電話がかかってきた。

「俺、ひどい目にあったの」

ネタの前振りか?と思ったが、一応聞いてみる。

「ひどい目に?誰に?」

「自分に」

「何したの?」

「さっき鍵かけて出掛けたんだけど、

家戻ったら鍵持ってないことに気付いてさ。

しかも携帯もなくて、財布くらいしか持ってないの」

「それは四面楚歌だな」

「アパートの部屋が二階だったから排水管を伝って窓から入ったよ」

「大変だったね。窓は開いてたんだ?」

「そう。2階くらいなら登れる。

 でもこれで簡単に泥棒に入られるってことに気が付いた」


そうかー寮に住んでいると泥棒のこととか意識しないで良いが

(実は寮に空き巣が入ったことはあるが)

一人暮らしだとそういう心配もあるのか。

夜に鍵が開かなくなったりしたらどうするか。

とりあえず財布があれば漫画喫茶かな。